僕はいわゆる〈団塊ジュニア世代〉
世代の価値観として『一つの会社で生涯勤めあげて行く事が美徳』がまかり通る。
そんなだから僕もご多聞にもれず18で上京し就職し、『当然の事』として同じ会社にいた。
業種はスーパーマーケット
新人の頃の昇進こそ遅かったが、21の頃に副店長になってから、翌年に店長、数年後に複数店マネジャーとその後も順調に昇進していく。
会社も株式上場を果たし、その後とある大手コンビニチェーンと合併。僕はいつの間にか100店舗 年間売上150億を束ねる立場まで上り詰めていた。
しかし人生には登り坂と下り坂と、もう一つの坂があるとあると言われるがご存知だろうか?
・・・そう『まさか』だ。
途切れる事のない緊張感と重圧の中で僕は知らず知らずのうちに心身をすり減らし限界に達してしまった。
挙句〈ドクターストップ〉。僕は24年間勤めた会社を辞める事になった。
虚無な時間を過ごす時間が数ヶ月続き ある日 突然
『グアテマラ一緒に行かないいすか?』という 謎の問いかけを受ける。
その当時の僕の心理状態は『自分が一番信用ならない』と思いこんでいて、なかなか前進できない自分に腹立たしさを覚えていた。そんな事もあり とある〈マイルール〉を課していた。
それは『人の誘いを断らない』という事。
ルールを課して3日目の事だった。
24年間同じ会社に勤め、自分の居場所を確立し、その場所が自分の世界の全てだった僕は、その『わからない』事に対し心底怯えたし、正直全力で拒否したい・・・こいつ人の弱みに付け込みやがって・・・
で僕は結局 行く事になり、イヤイヤながらも出発当日を迎えた。
ちょうどメキシコにいる友人が招待してくれた事もあり、とりあえずメキシコを目指して。ちなみに海外に行くのは10年前ツアーで台湾に行ったきりだ。
『空港まで迎えに行く』という約束を信じ空港に向かっていたが、出国ゲートをくぐる直前に一通のメッセンジャーが。。。
『仕事入っちゃたんで自力でバス乗ってきてー』
・・・こいつ、何言っちゃてんだ?
と思ったのもつかの間。立て続けに
『大丈夫 乗っちゃえば5時間くらいで着くからー』
ご・・・5時間?? この軽い感じ『5分』の打ち間違いじゃねえの?
とかなんとかで、何度かやりとりしたのですが。5時間・・・だそうです。
軽い感じで 未知の国で東京ー大坂間くらいの移動を強要する友人。
こいつは人じゃない。
頭の中でそいつを絞め殺しながらメキシコシティに着き、いい年こいたオッさんが半べそをかきながら街中を彷徨う。
『もう帰りたい・・・』というセリフを何度も心中で唱えつつ着いた先では、テキーラを浴びるように飲まされ全てをうやむやにされる。
帰りもなんだか普通にバスに乗せられ、5時間かけて飛行場へ向かう。
この頃くらいから、段々とマインドが変わっていく自分に気がつき始めていた。
【後半へ続く】